愛媛縣護國神社|松山の護國神社を訪ねて

2022年12月。
大分での友人たちとの楽しい時間を終え、私は一人フェリーで四国へと向かいました。
冬の荒れた海を越え、雨の八幡浜へ到着。
傘もなく濡れた私を迎えてくれたのは、予約していた「酒菜工房 古風」のご夫婦でした。

「もう着くころだと思って、おでんを温めておいたよ」
その一言と地酒、そしてタイの皮を丸めて干した珍味の味は、忘れられない旅の記憶となりました。
駅まで送ってくださったご主人の優しさに感謝しながら、私は最終列車で松山へと向かいました。

愛媛縣護國神社とは?
御幸山の緑に抱かれた
開放感溢れる平和の杜

翌朝、松山市内観光の起点として訪れたのが、市街地の北に位置する愛媛縣護國神社です。
明治32年に創建された当神社では、明治戊辰の役から大東亜戦争に至る愛媛県出身の御英霊をはじめ、功労者、公務殉職者の4万9千余柱の尊い御霊をお祀りしています。

社殿の背後には御幸山(みゆきやま)の穏やかな緑が広がり、正殿は四方を遮るもののない、非常に開放感にあふれた造りとなっています。
周囲の自然と一体化したようなその佇まいは、厳かながらもどこか清々しく、吹き抜ける風が英霊たちの魂を優しく包み込んでいるかのようでした。

網にかかった記憶:
日本海軍「零戦」のプロペラ

正殿の脇で私の目を引いたのは、展示されていた一本のプロペラでした。
解説によると、これは昭和43年に宇和島市の西海沖で漁師さんの網にかかり、引き上げられたものだそうです。
かつて空を駆けた「零式艦上戦闘機(零戦)」の一部が、数十年の時を経て海から還り、現在はここ護國神社の境内で静かに恒久平和を語り継いでいます。

御朱印に刻まれた
「伊予の彩り」

愛媛の清々しさを写したような、美しい御朱印を授かりました。

  • 「愛媛縣護國神社」の墨書き
    伸びやかで美しい筆致は、まるで松山の澄んだ空のようです。
  • 八重桜の印(右上)
    朱色で捺された可憐な桜の印が、ページを華やかに彩ります。
  • 「令和四年十二月二十三日」の日付
    雨の夜の温かな出会いと、翌日の爽やかな参拝の記憶が刻まれています。

祭典を通じて平和を願う

愛媛縣護國神社では、季節ごとに大切な祭典が行われています。

  • 4月10日 春季慰霊大祭
  • 8月15日 終戦記念日祭
  • 10月10日 秋季慰霊大祭

坂の上の雲を追いかけて:
松山・今治の旅

参拝を終えた後のひとときも、愛媛の旅を忘れられないものにしてくれました。

  • 松山・道後
    松山城を仰ぎ、坂の上の雲ミュージアムで志に触れ、最後は道後温泉の湯に癒されました。
  • 「居酒屋漁恵丸」での宴
    夜は松山の街で、愉快な仲間たちと合流。
    瀬戸内の豊かな海が育んだ地の魚を、鮮やかなお刺身から香ばしい焼き物まで、心ゆくまで堪能しました。
    美味しい料理を囲み、杯を交わしながら笑い合う時間は、何物にも代えがたい旅の醍醐味です。
  • 今治の誇り
    翌日はレンタカーを借り、今治タオル美術館や今治城へ。築城の名手、藤堂高虎公の像に手を合わせ、村上海賊ミュージアムまで足を延ばしました。
    瀬戸内海の穏やかな青さを窓越しに眺めながら走る道中は、前夜の賑やかさとはまた違う、清々しい解放感に満ちていました。

アクセスと参拝の基本情報

住所:愛媛県松山市御幸1丁目1-1

アクセス:伊予鉄道 城北線「鉄砲町」駅から北へ徒歩約10分。 (少し距離がありますが、静かな住宅街を抜けて杜へ近づく時間は、参拝前の心を整えてくれます。)

結びに:
湯の香りと情けを背に
次なる地へ

雨の夜のおでんと、海から還ったプロペラ。
そして冷えた体を芯から温めてくれた道後温泉。
愉快な仲間と美味しい魚を囲める幸せ。
そして、自由に車を走らせて美しい景色に出会える喜び。
愛媛の地で過ごした一分一秒が、実はとても贅沢で、尊いものなのだと改めて実感します。

愛媛縣護國神社の清らかな杜で、先人たちが命を懸けて守り抜こうとした「日本の姿」に触れたとき、私の胸には静かな、しかし強い想いが湧き上がってきました。

「平和で戦争のない世界がいちばん」

瀬戸内の穏やかな潮風を背に受けながら、私は感謝とともにこの地を後にしました。