靜岡縣護國神社|静岡の護國神社を訪ねて

2024年3月。
休暇をとって久しぶりに訪れた静岡は、私が現役時代に2度赴任し、計9年を過ごした思い出深い地です。

初めての冬、その暖かさに驚きコートなしで過ごしたこと。
二度目の冬にはすっかり体が静岡の気候に馴染んでいたこと。

そんな懐かしい記憶を辿りながら、私はJR静岡駅から快晴の空の下、約40分の道のりを歩き始めました。

静岡縣護國神社とは?
7万6千余柱の静寂

静岡市の中心部から東へ約3km。こんもりとした森に囲まれた谷津山(やつやま)の麓に、静岡縣護國神社は鎮座しています。

明治32年に「共祭招魂社」として創立されたこのお社は、明治維新から大東亜戦争に至るまで、国難に殉じた静岡県出身者及びゆかりのある英霊7万6千余柱をお祀りしています。

現在の地に移転したのは昭和17年のこと。
一歩境内に足を踏み入れると、街の喧騒が嘘のような、凛とした静寂が支配していました。

神明造の直線美と、
木造鳥居の温もり

拝殿の前に立ち、その佇まいに目を奪われました。

伊勢神宮に代表される日本最古の様式、「神明造(しんめいづくり)」を基調とした社殿は、反りのない直線的な屋根のラインが美しく、素材の良さを活かした清廉な空気を放っています。

また、入り口で迎えてくれるのは、堂々たる木造の鳥居です。

コンクリートや石造りにはない、木という「かつて生きていたもの」が持つ温かみが、谷津山の深い緑や静岡の青空と見事に調和しています。

それは、7万6千余柱の御霊を揺るぎなく守り続けるという「誠実さ」の現れのようにも感じられ、背筋がスッと伸びる心地がしました。

歴史を映す「境内案内レリーフ」

門前で足を止めた際、重厚な輝きを放つ銅製の案内板が目に留まりました。
これは、谷津山の麓に広がる神域の全貌を立体的なレリーフで表現したパノラママップです。

年月を経て落ち着いた風合いとなった銅板には、社殿や参道の配置が見事な彫金技術で再現されており、初めて訪れる参拝者にもその荘厳なスケール感が一目で伝わる素晴らしい構えでした。

御朱印

今回授かった御朱印は、まさに「王道」と呼ぶにふさわしい、気品に満ちたものです。

  • 「靜岡縣護國神社」の墨書き
    背後の豊かな杜を思わせる、潤いと力強さを兼ね備えた筆致です。
  • 「英霊顕彰(えいれいけんしょう)」の朱印
    そこには、国のために殉じられた方々の功績を永く称え、その志を未来へと繋いでいくという、神社の不変の決意が込められています。

    この四文字が、白木の社殿や木造鳥居の静謐な佇まいと重なり、参拝者の心に深く、静かに響き渡ります。
  • 令和六年三月十五日
    春の駿府を満喫した、穏やかな一日。
    富士山が間近に見えるこの土地の良さを、改めて再確認した記念すべき日付です。

祭典

春季例大祭・秋季例大祭 4月22日・10月18日

万灯みたま祭  8月13日〜15日
        奉納花火が夜空を彩ります

アクセス

  • 名称
    静岡縣護國神社
  • 住所
    静岡県静岡市葵区柚木366番地
  • アクセス
    • 静岡鉄道「柚木駅」より徒歩5分
    • JR「東静岡駅」より徒歩10分(JR静岡駅からは徒歩約40分)

富士山と鉄道、
そして「静岡おでん」

参拝を終え、神社の脇を走る静岡鉄道の線路沿いへ。
そこで私は、奇跡のようなシャッターチャンスに出会いました。

国道1号線越しに立つ白い鳥居、そこを横切る赤い静鉄の車両、そしてその背景には、雪を頂いた雄大な富士山
静岡のシンボルがすべて一枚に収まったこの景色に、思わず「パチリ」と心が躍りました。

その後は、家康公ゆかりの駿府城へ。
城内の茶店でいただいた名物の「静岡おでん」の味は、春の陽光とともに、私の心に深く染み渡りました。

結びに

家康公が太平の世を願い、隠居の地に選んだ静岡。
今、私たちがこうして美味しいおでんを突き、美しい富士山を眺めて歩けるのは、谷津山の麓で静かに見守ってくださる英霊たちのおかげに他なりません。

「平和で戦争のない世界がいちばん」

谷津山の北、軍馬や軍鳩までをも祀る陸軍墓地にも思いを馳せながら、私はこの暖かな街を後にしました。