殉國七士廟|父と訪れた三ヶ根山・時を超えた答え合わせ

2026年7月。
晴れ渡る青空と焼けるような日差しが広がる夏の日。
車を降りた瞬間に汗が噴き出すような午後に、
愛知県の三河湾スカイライン頂上に位置する
殉國七士廟と比島観音へ参拝に訪れました。
私にとってこの三ヶ根山は、小学生の頃に
父に連れられてやってきた思い出の場所でもあります。
当時はただただ、見晴らしの良い場所から
三河湾を眺める楽しい旅行だと思っていました。
しかし、今回の訪問でその背後にある深い歴史と、
父の想いに気づかされることになりました。

ゆうとぴあ三ヶ根
歴史を偲ぶ場
参拝の前に、まずは山頂で唯一お食事がいただける
「ゆうとぴあ三ヶ根」へ立ち寄りました。
選んだのはランチメニューの「焼きカレー」。
チーズ、ベーコン、そして色鮮やかなプチトマトが
のり、香ばしく焼き上げられたカレーは絶品でした。
店内には戦時下の貴重な軍服や遺品が展示され、
壁にはゼロ戦や航空母艦の写真が所狭しと掲げられています。
食事をしながら、「ああ、ここは歴史を偲び、
心を寄せる方々が集う特別な場所なのだ」と改めて感じ入りました。


殉國七士廟建立の秘話
奉仕会代表との出会い
腹ごしらえを終え、殉國七士廟へ向かいます。
境内で黙々と草取りをされている方に
「ご苦労様です」とお声をかけたところ、
なんとその方は殉國庭園奉仕会の代表を務められている方でした。
そこから1時間ほど、この地に慰霊碑が建立された
経緯や歴史の裏側について、大変貴重なお話を
聞かせていただきました。

東京裁判の後、七士の遺灰は没収され捨てられたとされています。
しかし「このままでは浮かばれない」と、
見つからないようにかき集められた遺灰が、
最初は熱海の地に祀られました。
その後分骨されてこの三ヶ根山に祀られることと
なったそうです。
さらに、
東條英機元首相らが祀られるこの三ヶ根山。
全国のご遺族の方々から
「私たちも、お近くで祀っていただきたい」という
強い要望が寄せられたとのこと。
それをきっかけに山頂一帯へ数多くの顕彰碑が建立
されていったという経緯も教えていただきました。
途中、私がここを訪れた理由をお伝えすると、
「それなら、少し先にある比島観音の一角に
『近衛兵の碑』がありますよ」と
教えてくださったのです。
記憶の答え合わせ
近衛兵の碑と父の祈り

教えていただいたとおり比島観音の敷地へ
向かいました。
すると、そこには皇居正門をかたどった
「近衛歩兵第一聯隊之碑」が佇んでいました。
この碑を目にした瞬間、
胸の奥から当時の記憶がふつふつと蘇ってきました。
昭和35年に「殉國七士廟」が建立されたのち、
昭和47年に「比島観音」建立。
父が私たち子供を連れてここへ参拝に来ていた
のだと、時を超えて理解できた瞬間でした。
私の叔父(父の弟)は陸軍に入り、
沖縄から船に乗ってフィリピン方面の前線へ
向かう途中、バシー海峡沖で撃沈され
亡くなったと聞いています。
広大な比島観音の境内には、フィリピン各地の
戦地で戦死された49万余の方々を偲ぶ石碑が
所狭しと並んでいます。
あまりの多さに叔父に関係する顕彰碑を見つける
ことはできませんでした。
きっと当時、父は若くして散った弟の戦死を悼み、
深い祈りを捧げるために私たちを連れてここへ
訪れたのでしょう。
その時の父の背中や気持ちが、
時間を超えて伝わってくるようでした。

御朱印:
英霊を見守る比島観音
力強く躍動感のある墨書で「比島観音」の文字が
記されています。
広大な三ヶ根山山頂で、数多くの慰霊碑・顕彰碑、
そしてそこに眠る英霊たちの魂を優しく見守って
くださっているかのような、大変ありがたく
重厚感あふれる御朱印です。
この場所を訪れた記憶と父への想いを繋ぐ、
大切な宝物となりました。
初穂料:300円(三ヶ根観音の社務所で拝受できます。)

アクセスと基本情報
参拝先:
殉国七士廟(じゅんこくななしびょう)
比島観音(ひしまかんのん)
鎮座地:
いずれも三ヶ根山スカイライン山頂に鎮座しています。
(殉国七士廟)
愛知県西尾市西幡豆字東奥山13-138
(比島観音)
愛知県西尾市東幡豆町大境
アクセス:
名鉄蒲郡線「東幡豆駅」またはJR東海道本線「三ケ根駅」からタクシーで約15分。
マイカー利用は、東名岡崎IC又は音羽蒲郡IC経由、三ヶ根山スカイライン(現金420円)へ
結びに
子供の頃には「きれいな景色の場所」としか
見えていなかった三ヶ根山。
大人になり、歴史を知り、
奉仕会代表の方のお話を聞くことで、
そこが父の弟への想いと祈りが込められた
大切な場所であったことを知りました。
歴史を語り継ぎ、静かに守り続けてくださる
奉仕会の方々への感謝とともに、
平和で戦争のない世界がいちばん
であると改めて強く噛み締める一日となりました。
三ヶ根山を訪れる機会があれば、
ぜひ美しい展望だけでなく、
この地に眠る歴史と人々の切なる祈りにも
心を寄せてみてください。


