伊勢神宮を巡る旅|外宮「御木曳行事」で体感した伝統の熱気

2026年6月5日。
私は伊勢の地で、一生モノの深い感動に出会いました。
20年に一度行われる伊勢神宮の式年遷宮。
その社殿を造るための大切な御用材を運ぶ「御木曳(おきひき)行事」を目の当たりにしてきたのです。
朝からの雨も見事に上がり、澄んだ空気の中で始まった行事は、まさに圧巻の一言。
全国から集まった大勢の人々が揃いの法被に身を包み、町全体が凄まじい熱気に包まれていました。

エンヤー!エンヤー!
響き渡る掛け声と陸曳の迫力
内宮領では五十鈴川の中を運ぶ「川曳(かわびき)」が行われます。
今回、私が拝見した外宮領では、巨大な台車(奉曳車)に御用材を載せ、街の中を進む「陸曳(おかびき)」で行われます。

近くで見ると、丸太に施された見事な縄の結束や、それを支える大きな車輪の構造にも伝統の技が息づいているのが分かります。
老若男女が心を一つにして奉仕するその姿に、初めて見た私は言葉にできないほどの感動を覚えました。

『太一(たいつ)』ってなに?
実はこの時、一緒に歩いてくれた地元のツウの方が、奉曳車に掲げられた大きな文字を見上げて、面白いお話を教えてくれました。
「すーさん、あの『太一(たいつ)』って文字、どの車にも掲げられているんですよ」
てっきりあの車の名前かと思ったのですが、そうではないそうです。
「太一」とは古代の言葉で宇宙の根源、つまり神宮の最高神である「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」の象徴なのだとか。
「これは神様のための、一番尊いお木曳きですよ」という誇りの証として、すべての奉曳車がこの文字を掲げて進むのだそうです。
では、どうやってそれぞれの車を見分けるかというと、ヒントは皆さんが着ている「法被(はっぴ)」にあります。
よく見ると、背中にそれぞれの地元を表す町名や団の名前が格好良く書かれており、そこで見分けるのだとツウの方に教えてもらい、なるほどと深く納得しました。
その方も先日別の町内で法被を着て、朝早くから夕方までかかって参加されたそうです。
背景を知ると、揃いの法被で声を掛け合う人々の姿が、さらに誇り高く、粋に見えてくるから不思議です。
結び
今回、この特別な瞬間に立ち会えたことは本当に幸運でした。
ただ見物しているだけでも胸が熱くなりましたが、次第に私の心の中に、ある強い想いがふつふつと湧き上がってきました。
「この伝統の輪の中に、次回は自分も法被を着て、綱を引く側として参加したい。」
550年以上続く歴史の1ピースに、自分もこの手で触れてみたいと本気で思わされるほど、御木曳行事には人を惹きつけるエネルギーがありました。
伊勢の皆さんの誇り高い姿に、たくさんの元気をいただいた最高の1日となりました。
御木曳行事情報:
令和の御木曳関連行事の日程は、伊勢御遷宮委員会のホームページを参照してください。


